電磁気観測で津波を検出する

2014-11-22

てぃん

Profile

京都大学大学院
理学研究科 地球惑星科学専攻
川嶋 一生さん

取材日:2014/08/15
編集者:さき

※このインタビューは取材してから1年以上経過しています。情報が古い可能性がありますので、ご注意ください。

研究内容

――― 今の研究室はいつから志望していましたか?

大学に入るまでは研究室についてはあまり考えていなかったのですが、惑星についてやりたい、という思いがあったのと、最終的には学部1年生のときの授業で自分の研究について楽しそうに話す今の研究室の先生を見て、この研究室に行きたい、と決めました。

――― 研究室はどのようなところでしょうか?

宇宙の事から海のことまで、広く地球科学に関わる研究室です。今の僕の研究テーマは海についてやっています。実は、この研究室では多くの人がオーロラについて研究していて、僕も同じくオーロラに興味がありました。しかし実際には室内でのパソコン作業、一番やりたかったのは観測でした。そこで、海についてやっているテーマならば実際に研究船に乗って観測機器を置いたりして実地で研究ができるので、海をテーマに選択しました。オーロラは卒業と同時に見に行きたいと思っています。

――― 今のテーマは学部4年生の頃から続いているようですが、そのテーマについて、高校生向けに分かりやすく説明するとしたら?

津波について研究をしています。普通、津波の観測ではブイの動きで津波を察知するものですが、私の研究のテーマでは電磁気観測で津波を検出することを目標にシミュレーションをしています。どの現象の裏側にも、数式が存在しています。これには解があるもの、決まらないものがあり、これは大学数学で学ぶと思います。では何故解が決まらないのか?地形などの条件は場所ごとに違うから、コンピュータを用いた数値計算で解に近づけて行く。これが私の研究で用いているシミュレーションです。

――― 大学の特徴を教えてください

私が入学した所は理学研究科というところで、1・2年目は専門には分かれておらず、二年間の選択の猶予があります。三年生から地学、物理、化学、生物、数学に分かれています。そのなかでも僕は地学、地球物理(地球惑星科学)を選びました。学業はあまり忙しくありませんでした。学部1年生から3年生に掛けて、この学部の特徴として、勉強するのもしないのも自由スタンスを取ることができます。”単位は降ってくるもの”と言われているのに、自ら手を出さない人もいます(笑)自分が勉強したいことを学ぶべき、という考え方で、そもそも理学部は専門科目のなかに必修がありません。将来的に研究する上で、自分に必要な事を考えて決めて行かなければなりません。高校まではやるべきことは与えられますが、この学部では先々のことまで考えて学ぶことが必要です。自主性を延ばし、一から全部自分で作って行くことができるんです。自己責任なので、失敗しても自分のせい。社会に出てからは必ずこの力は必要になると思うので、自主性を延ばしたい人にはかなりお薦めの大学です。

――― 現在は修士2年生の川嶋さん。修士課程に行くことは、高校生の頃から決めていましたか?

実は、高校生の頃は漠然と研究者になりたかっただけで、修士課程の存在を知りませんでした。周りはあまり参考にしなかったので、周りからの影響はありませんでした。学部1、2年生くらいから修士課程まで研究をやろうと思っていました。大学に進学し、研究というものをしっかり経験してから就職ができるのであれば、あと2年間は研究しながら考えようと思っていました。就職活動は学部時代にはしませんでした。

――― 研究していて楽しいことはなんですか?

いろんなところに観測しに行けるところです。一般の人だと立ち入り禁止の所にも行けて、迫力ある自然を目、耳や鼻を通じて全身で感じることができるんです。実地の観測では、山だと阿蘇山、陸だと高知県の山奥に観測機器、海には観測機器を海底に設置しに行きました。海に行き、船酔いと二日酔いが重なった時は辛かったです。揺れない場所がないまま、一回の航海が2週間、基本的には船からは降りる事ができない環境です。でもやっぱり楽しい。研究船には、普通の人はなかなか乗れないですよ。360海っていう経験も、なかなかないです。強い海流、黒潮の方はとても揺れて酔いやすいポジションです。東北沖から東に船で片道一週間程のところに行ったり、日本最南端の沖ノ鳥島の海にもいきます。暖かくて気持ち良いけれど、船から海にはさすがに入れないです(笑)高知の山にも観測機器を置きに行きました。田舎に行ってそこに泊まれるので、仲間とその土地の美味しい物を食べられるのは楽しいです。普段は行かないくらいの山奥です。地球惑星科学をやっていると、地形の成り立ちなどを知りながら、地元のものを食べられる。なかなかロマンがありますよね。

――― 研究者を志望していた川嶋さんですが、就職を決めるまでその考え方はどのように変化したのですか?

人の考えというのは、大体変わっていくのが普通だと思います。博士課程への進学はそれなりに悩んだのですが、他の事も経験して、社会に出て広い視野を持ちたくて、就職しようと思いました。いろんな物を見てみたい、という気持ちからです。中途半端な気持ちで博士課程に進学しても、僕の場合視野が広がるようになるとも思いませんでした。就職先は宇宙飛行士に関わる仕事です。配属などはまだ決まっていませんが、エンジニア職希望で宇宙飛行士のインストラクターのようなことをしたり、地上の管制室に行ったりしてみたいです。

理系に進んだ理由

小さい頃から宇宙は好きでした。高校生の頃は宇宙の仕組み、世界の仕組みが知りたくて、理系の方が性に合っていることもあり、当時は研究者を将来の視野に入れていました。小学生の頃は国語よりは算数が好きで、中学生の頃は体育が好きでした。この頃はあまり何かに興味を持って…という勉強の仕方ではなく、普通にテストで点を取れるように勉強をしていました。趣味としてはSFっぽいもの、スターウォーズなどがかっこいいな、と感じていました。宇宙が好きで、JAXAなどもかっこいいと思っていました。高校生になってからは、宇宙物理よりも地学に興味が湧きました。高校の修学旅行では阿蘇山に行き、自然を見てはわくわくしていました。もっと自然のすごさを知りたい、知ったらもっと感動できるのではないか!?というのが当時のモチベーションでした。

受験時代

――― 選択科目は何を選びましたか?

地学も好きで理系に進学希望していましたが、国公立試験の二次試験で受験の幅が利きにくかった為、物理・化学で受験をしました。公民選択は世界史。僕はあまり暗記する事をヘビーに感じることもなく、昔の話を知る事でわくわくしていました。面白かったので酷には感じませんでした。

――― 受験時代のエピソードを教えてください。

僕が高校生だった頃は、京都大学ではセンター試験は足切りにしか利用されていませんでした。今の京都大学は、多少センター試験の結果も合否に影響するようになったようです。また、物理はあまり得意ではありませんでした。理系科目だけに関わらず、僕の場合は落ち着きがなかったので、椅子に座って勉強することが課題でした(笑)気が散らないようにすることを大切にしていました。僕は勉強のhow toを意識したことはなくて、自分がいかに集中できるかどうかが重要でした。集中できない人間だと自分で理解はしていたので、誘惑のないところに初めから行くようにしていました。僕は図書館や自習室ですら、知らない人の気配や物音で気が散ってしまうので、現役のときは部活の仲間と放課後の教室を利用して勉強していました。浪人のときは開放されている教会で勉強をしていました。何故気が散ってしまうのかを理解して、環境を整えることが大事だと思います。

――― 現役・浪人の時で変えた事などはありましたか?

現役のときは根拠も無く何故か受かると思っていました。周りが勉強していて、周りと同じくらい自分も勉強していて、模試の結果も見劣りしなかったので。そういう意味で落ち着いて受験に対しては構えていて、京都大学しか受験しませんでした。浪人の時は一年目で受からなければ、という意識があったので、現役の時よりはシビアに考えていました。けれど性格上、焦ったりするタイプではありませんでしたので、変わらず落ち着いて勉強していました。ただ、受かってもいなかったのに現役時のプライドを持ってしまっていたので、納得する受験をやりきることを意識しました。勿論、浪人しても第一志望に落ちてしまう可能性というのはあったので、第2・3志望を決めるとき、自分が納得できる何かをもって受験に挑みました。こっちの大学の人生もありだな、とか、偏差値だけで決める事はしませんでした。

キャンパスライフ

大学学部時代には、それぞれの学年毎にテーマを持っていました。
学部1年生:アルバイト
「子供の理科離れをなくす会」で理科を教えていました。プログラミングを子供にさせて、ブロックのレゴを使って車をつくり、プログラムを組んで自律制御させる仕組みを作っていました。このアルバイトは一年生の冬までやっていました。アルバイトとサークルで中途半端になるのは嫌だったのでスパッとやめました。
学部2年生:サークル
バドミントンサークルの幹部になりました。2年生になると男子全員は役職を持つ事になるので会計を担当していました。文化祭のときに店舗を出して、お金を稼いで…という役割です。今もサークルには所属していますが、ちょっと顔を出すくらいです。
学部3年生:短期留学オーストラリア・授業の一環
留学には海外経験・語学習得がしたかった為に参加しました。英語を使ってみたかった気持ちから、英語でディスカッション出来るサークルにも所属していました。引っ込み思案な自分を変えていきたいという思いもあり、結果、英語を話すことに抵抗はなくなり、研究にも生かせる点では海外の学会のハードルを低く感じられました。現地ではホームステイ形式で留学しました。オーストラリア人は雑だと聞いていたのに物凄く厳しい家庭で、それが意外で逆に面白かったです。そのホストファミリーの両親は、実は空軍の頃に出会って結婚していた方々だったのです。留学に行ってみたら意外と英語は話せたので、この留学経験から、何かに挑戦するときも”意外といけるんじゃないか?”と思えるようになったのは大きかったです。

高校生へメッセージ

志望大学を決める際、どの大学・学部にも良い所やそうでない所があって悩む事があると思います。その時はいつまで悩むかをしっかり決めて、そこまでは悩み切ってから最後は直感で決めると上手く事が進むかもしれません。悩んでいる間は実力の一割も出せないので、悩みすぎずに思い切って行動して下さい

てぃん 理系コミュニティ理系+

情報系の学部4年生。理系コミュニティ理系+にてwebエンジニアとして活動中。趣味は映画鑑賞、パン屋さんめぐり、ミュージカル鑑賞。

@snoopypoint

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