医療系が中心の生物科学科ってどんなとこ...?

2015-02-10

てぃん

Profile

北里大学
理学部 生物科学科
岡安 春佳さん

取材日:2014/03/26
編集者:森本彩香

※このインタビューは取材してから1年以上経過しています。情報が古い可能性がありますので、ご注意ください。

研究内容

私は分子発生学、特に性分化に非常に興味があって、マウスの性分化の研究がしたいので、発生の研究室にいきたいと思っています。

―――「性分化」というのはどのようなものなのでしょう?

男女に分かれるところの性決定に関することです。X染色体とY染色体などといったような。Sryという遺伝子がY染色体上にあるのですが、それがどのように働いて、どのように男女が分かれていくかというのに興味があるんです。

―――今も分子発生学の勉強はされているのですか?

基本は大学の勉強が中心ですが、自分で『細胞の分子生物学』や『Developmental Biology』、論文を読んだりしています。あとは大学でやっているセミナーや理研のシンポジウム、サイエンスカフェにも参加しています。春休みには理研主催の実習プログラムとして、大阪大学で1週間実習してきて、夏休みには大学主催のハーバード大学への国際交流プログラムに参加しました。

―――セミナーというのはどのようなものなのですか?

大学院生の授業で、理学部の中の生物・化学・物理合わせて、年に12回程行われます。大学院生向けなので結構難しくて、内容はわかってないこともあるのですが。こないだはマイクロRNAについての話を聞いて、先生に個人的に声をかけていただいて行ったセミナーでは進化のことについて聞きました。私は発生学に興味があるのですが、それ以外の分野の授業にも出ています。色んなことを知ろうというのが目的で行っているので、あまり分野は限定しないようにはしています。勝手に大学院生の授業に参加している感じなので、学部生はあまりいないですね。かなりアウェイ感があります。

―――学部生の実験について教えてください!

生物科学科は、1年生のときは化学と物理の基礎的な実験で、生物の実験はありません。生物の授業も前期が週に2回、後期は週に1回程度で、高校の延長のような感じです。本格的に実験を始めたのは2年生になってからで、そこからはずっと生物漬けですね。授業のほとんどが生物で、選択で化学や物理、英語が少しあって、生物の中でまた分野が分かれています。2年生になってからやっと「大学生だ!」と感じて、とても楽しいです。

―――楽しかった生物の実験はありますか?

分子発生学の実験が楽しかったです。マウスの解剖なのですが、おなかの中の赤ちゃんを取ってきて、顕微鏡でその赤ちゃんを見たり、赤ちゃんを解剖したりします。「骨標本」という肉を透明にして骨を染める技術で、軟骨を青、硬骨を赤で染めて骨形成の過程を見るんです。「透明標本」といって、東急ハンズなどに3000円くらいで売っているのですが、作ったものが家にたくさんあります。

―――研究室はどのようなものがありますか?

研究室自体は4つです。1つの研究室に20人くらいいますが、他の大学などの外部の研究室に行ったり、薬学部の研究室に理学部から卒研生として行ったりすることもあり、実際その研究室に残るのは5人程でそんなに多くはないです。

―――その4つの研究室はそれぞれどのようなことをやっているのですか?

まず、「分子生物学講座」は、生態情報、基本的にDNAなどを扱っています。シマリスの冬眠や、アフリカツメガエルの性決定や変態について研究しています。その先生が性決定についてすごく楽しそうに話すので、私は性分化に興味を持ちました。次が「幹細胞学講座」で、分子発生学の講義を担当してくださっている先生がこの研究室になります。受精卵や、幹細胞の研究を行っています。「細胞生物学講座」は、生体機能学という分野になります。スモールGタンパク質という生体内でよく使われている分子スイッチがあって、GTPが結合すると活性型になって、ちょっとだけ変わったGDPが結合すると不活性型になるという生体内のスイッチです。そういったことや癌細胞の浸潤転移など、主に細胞移動の研究を行っています。最後が生態防御「免疫学講座」です。リンパ球などといった免疫系になります。でも、生物と言っても範囲が広いので、うちの大学の研究室で全部フォローをしているわけでは絶対にないですね。遺伝についてはやっていませんし。

―――有名な先生はいらっしゃるのでしょうか?

前ハーバード大学で教えていた、スモールGタンパク質についての研究で有名な先生がいらっしゃいます。また、私が2年生のときに変わられてしまったのですが、前の分子発生の先生はすごく有名な先生です。

―――北里大学を選んだ理由はなんですか?

何と言っても実験設備が整っていることです。素晴らしいです。あとは医療系を中心とした生物科学系の学部展開。生物が好きな私にはぴったりだと思いました。カリキュラムも1年生のときは一般教養やサイエンスの基礎の講義・実験が中心で、2年生以降生物系の実験をしっかりできるという点が魅力的でした。

―――実際に通ってみて設備は整っていると感じることはありますか?

たくさんあります。顕微鏡が一人一台あったり、蛍光顕微鏡があったり…マウスもたくさん飼っていますし、1年生の最初の実験で10万円する機械を2人で一台使ったこともあります。実験中に不満に思ったことは一回もありません。医療系に関連する研究をしたい人は、北里大学はすごくいい環境だと思います。学部展開が医療系ですし、外研も充実しています。医学部でも薬学部でもないけれど医療系に進みたい人には向いていると思います。

―――先生や大学院生との交流はありますか?

私がよく先生方のところに行っているというのもありますが、先生との距離は近いです。TA(=Teaching Assistant:実験の補助などをしてくれる大学院生)さんと仲の良い生徒もたくさんいますし、懇話会があったりもします。また、「チューター制度」というものがあって、いわゆる担任のようなもので先生1人に生徒が10人くらいついています。成績表の返却などはその先生が行っていて、大学生活の不安や悩みもその先生が聞いてくださります。仲の良い先生とすれ違ったときに1時間くらい立ち話をすることもありますね。

理系に進んだ理由

小学校3年の理科という教科が始まった時からずっと理科が大好きでした。中学・高校と進むにつれて勉強もだんだんと詳しくなり、私はやはり理科が大好きであること、特に生物が好きであることが解ってきました。理科の先生に恵まれていましたし、ごく自然に理学部の生物学科を探していました。

―――生物以外の教科も得意だったのですか?

化学は結構好きで、理系科目が苦手と言っている人に教えたりしていました。まだ文理が分かれていないときで、理系に進む人が少なかったこともあり、成績はクラスでは中の上くらいでした。数学は、楽しいと思うことはありましたが、基本は苦手でした。

―――逆に文系の教科はどうでしたか?

あまり興味はなかったです。世界史などは嫌いでした。受験が私立大学一本だったのもあって、あまり文系教科は勉強していませんでしたね。

―――将来やりたいことはありますか?

研究者になりたいと思っています。その想いは小さい頃からなんとなくあったのですが、ちゃんと「研究者」という職の名前が出てきたのは高校生の頃です。好きなことを仕事にしようと思ったら研究者だな、と思って。高1までは薬学部に進みたいと思っていたのですが、薬学部は化学が中心だよ、と言われて、じゃあ違うかなと感じたので理学部の生物に進むことにしました。

受験時代のエピソード

高2のセンター同日受験をきっかけに塾に行き始めました。そのときは正直、全く受験生としての自覚はなく、勉強習慣なんて皆無でした。授業は一応真面目に受けて定期テストの勉強はして、なんとかやってきたくらいです。

―――受験モードに入ったのはいつですか?

高3の夏ですね。予備校に通い始めた高2の春休み期間中は、4時に予備校に行って6時に帰るくらいで、学校が始まってからも週に3回通うくらいでした。変わるきっかけは高3の夏休みにあった英語の夏期合宿です1週間本気で英語漬けの日々を送って、最終日は、23時間勉強しました。それがすごく強烈な経験になって、帰ってきてからは、毎日塾に行って、開館時刻から閉館時刻まで勉強するようになるくらい、急激な変化がありました。1週間の勉強内容が2日で終わるほどです。今考えるとよくあんなに勉強できたなって思います。

―――どうしても勉強が苦しくなったときはどうしていましたか?

とりあえずトイレに行って体を動かして、それでもだめだったら散歩をしたり15分お昼寝をしたりしていました。どうしてもだめな日は早めに帰って家で寝たり、お菓子を死ぬほど食べたりという感じですね。息抜きの方法の1つに趣味の生物の勉強をする、というのもありました。受験に出る範囲の勉強をするのではなく、好きなように資料集をパラパラ読んでいました。それは全然苦じゃなかったですね。

―――生物が好きな人はどんな問題集を使うのですか?

『重要問題集』を高校の生物の先生に聞いたらおすすめされたので、それを使っていました。

―――生物って結構文章を書くイメージなのですが、それは得意でしたか?

論述の練習はたくさんしました。『セミナー』という学校指定の生物の問題集があって、その後ろにある論述問題を全部先生に添削していただいていました。それで論述力はかなり上がったと思います。

―――北里大学を知ったきっかけはありますか?

中学生のときに高校見学に行って、そのとき電車の中から北里大学の広告が見えて、薬学部の存在を知ったんです。それで北里大学の薬学部に興味を持ちました。薬学部から生物科学科に志望が変わったときも北里大学という候補は出てきました。

―――他にどのような大学を受験しましたか?

早稲田大学、立教大学、中央大学、学習院大学、東洋大学、日本大学を受験しました。第一志望だった北里大学を含め、早稲田以外は合格しました。

―――もし早稲田に受かっていたらどうしていましたか?

それはすごく迷っていたと思います。どうなったかはわかりませんが。受験のときは、受けるだけ受けて結果を見て考えようと思っていました。というのも、早稲田大学は教育学部の生物系を受験していましたが、教育がしたかったからではなく、理科1科目で受けられる早慶がそこだけだったからです。実際に進学を決めるときも、北里大学に進学することは迷わなかったです。研究設備などの面で、研究者になりたいと思っている人や、がっつり理系の勉強がしたいと思う人は北里の方が向いていると思います。

キャンパスライフ

大学祭の実行委員で教室企画管理課という課の課長を務めていました。他の大学に比べたら大学祭の規模は大きくないと思いますが、北里大学の中では1番大きな団体です。例年150~200人1年生が入ります。あとは、1年生だけが入る「北里会」という会の学生運営委員会で、クリスマスパーティーを開催しました。北里会では基本的に七夕とか講演会とかを行うのですが、クリスマスパーティーだけはメインイベントで、有志を募って実行委員を集めて開催するんです。実行委員も参加者も1年生だけで、そこで一生ものの友達ができました。仲良くなったのが獣医学部の人で、今は青森の十和田にいるのでなかなか会えませんが、大学で1番仲の良い友達です。1か月しか活動していませんでしたが、とても濃い1か月でした。

―――大学生のうちにやっておきたいことはありますか?

大学生は損得を考えない友人関係が築ける最後の時期だとよく聞きます。同年代はもちろん、先輩や後輩、先生など様々な人とつながりを作りたいです。他の大学の研究室訪問に行ったり、理研のプログラムに参加したり。今のうちにしか人脈を広げられないのかなと思うので、出来る限り多くの分野の人に触れられるようにしたいです。

高校生へのメッセージ

今悩んでいる人も多いと思うし、嫌になっちゃうこともあると思うのですが、自分が今やりたいことをやれば、将来的にそれが変わってしまっても頑張ったことは糧になると思うので、「今」楽しいと思うことは「今」全力でやってください。将来やりたいことをやるために必要なことは、嫌でも頑張ってください。そして、楽しんでください!

てぃん 理系コミュニティ理系+

情報系の学部4年生。理系コミュニティ理系+にてwebエンジニアとして活動中。趣味は映画鑑賞、パン屋さんめぐり、ミュージカル鑑賞。

@snoopypoint

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