水を分解して水素を取り出す際に用いられるマンガン触媒の開発

2014-07-07

さっつん

今朝、ニュースサイトをぼーっと眺めていたら、ひときわ私を惹きつける記事が目に入ってきた。

「水から電子取り出すマンガン触媒開発」
http://www.huffingtonpost.jp/science-portal/water_b_5554314.html

理系の中村龍平さんらが中性の水から電子を取り出す人工マンガン触媒の開発に成功したというニュース。私は大学院生の頃、中村さんらが用いたマンガン系触媒に近い構造の触媒の研究を行っており、中村さんほか同記事にも記載されている山口さんともお話をさせていただいた経験がある。

私も近い研究をしており、私の研究成果は、学会のプロシーディングではあるが、公表されている。
http://journals.cambridge.org/action/displayAbstract;jsessionid=FC15129F531B576D64C8D3DE8717BE48.journals?fromPage=online&aid=9253170

そこで、今回はこの記事についての解説を行ってみたいと思う。

まず、研究背景であるが、現在、燃料電池等の水素を燃料として利用する動きが広まっている。燃料電池で水素と酸素を反応させて電気を取り出すのが燃料電池であるが、この反応には水しか出ないので、環境に良いというわけだ。各車メーカーが燃料電池車を開発していたり、エネファームといった家庭用燃料電池も販売されており、水素はクリーンなエネルギーとして注目されている。

しかし、その水素はいったいどこから入手するのだろうか?石油や天然ガスのように水素が地中に埋まっているとは考えにくい。そもそも、水素というのは極めて小さな分子であり、また、極めて軽い分子であるので、容易に上方へ逃げていく。地中に大量の水素は存在しない。

ではエネファームではどのように水素を調達しているのかと言えば、メタンガスから水素を生成しているのである。メタンガス、これは天然ガスの主成分であり、都市部では都市ガスとして家庭に供給されている。この都市ガスを水蒸気改質という方法で水素を製造しているのである。

しかし、この方法にはいくつかの問題点がある。先ほど、燃料電池は水しか出さないのでクリーンであると述べたが、確かに燃料電池だけに注目するとクリーンなのだが、メタンガスを利用して水素を製造すると、必ず二酸化炭素が放出される。これは決してクリーンではない!現在水素の製造の多くはメタンガスを利用しており、現状、水素エネルギーはクリーンなエネルギー源ではないのである。

加えて、メタンガスを利用するということは、天然ガスを利用するということである。天然ガスも石油と同じく化石エネルギーであり、将来的には枯渇する心配のある資源である。水素製造に天然ガスを利用している限り、水素は持続可能なエネルギー減とはなりえない。この点からも現在の水素エネルギーにはまだまだ問題山積なのである。

燃料電池を普及しようとするひとは、燃料電池は水しか出さないクリーンなエネルギーであると主張するが、現状、決してクリーンなエネルギーではない。もし仮に、水素が天然ガスのような化石資源から製造されるのではなく、二酸化炭素を排出することもなく製造されるようになってはじめて水素がクリーンなエネルギーとなり、持続可能なエネルギー減となるのである。

そこで注目されるのが水を分解して水素を取り出す方法である。中学の理科で習ったように水を分解すると水素を酸素が生成される。理科の授業で、水素が発生した側(陰極)に火のついたマッチを近づけるとポンっという音がして小爆発を起こす実験をした人もいると思う。水素はこのようにして水を分解することで得られる。

しかし、ここにもまだ問題がある。水を分解するための電気はどうするのか?そして、理科の授業では水の分解と言っておきながら、水酸化ナトリウムを使用して水の分解と言っていた。いやいやこれは誰がどう見ても水酸化ナトリウムの電気分解で水の電気分解ではないではないかとツッコミを入れた人もいるかもしれないが、なぜか中学では水酸化ナトリウムの電気分解を水の電気分解と言う。

水酸化ナトリウムを使用すると結局、水酸化ナトリウムはどうやって製造するのかという話になり、やっぱり水酸化ナトリウムの製造にもエネルギーが必要となってしまう。

だからこそ、中性で水を分解する技術が必要なのである。(水酸化ナトリウムはアルカリ性)

そこで私たちや中村さんらが注目したのが植物の光合成である。

・・・。

長くなってきたので本日はここまで。続きは次回以降に!

画像出典:https://goo.gl/jDfQUx

さっつん

都内大学工学部マテリアル工学科卒業 同大学院工学系研究科電気家工学専攻修士課程在学

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