なぜ虫が光に集まる?フラフラと近寄る行動には数学的ヒミツが!

2015-07-11

数学のお兄さん

■飛んで火にいる夏の虫

虫が光にふらふらと寄っていく様…夏に近づくとよく見かける光景ですね。

夜の街灯にたくさんの虫が寄って行く光景や、夏に窓を開けると部屋の中に待っていたかのように虫が入ってくる光景…いとも簡単に想像がつくはずです。(想像がつかない方は、ぜひ部屋を明るくした状態で窓を開けて10分ほど放置してみてほしい。とんでもない事になるでしょう。笑)

ことわざにも、「飛んで火に入る夏の虫」といったものがあるように、虫は見事にふらふらと光(火)に吸い寄せられていきます。

この記事では、光にふらふらと寄っていく動きにどういった理由があるのか、この記事では解説したいと思います。ちなみに、このふらふらがミソですよ。

 

■光により起きる性質”走光性”について

まずは、この光に寄って行く性質について簡単にご説明。“走光性”というその性質の通りの名称がついています。走光性とは以下のように説明されています。

-光の刺激によって起こる走性。虫などが灯火に集まるのは正の走光性,ミミズが暗い方へ移るのは負の走光性。weblio辞書http://www.weblio.jp/content/%E8%B5%B0%E5%85%89%E6%80%A7より-

なぜそのような性質があるのかの理由ですが、それはシンプルにその生物が生きるために必要だからと考えられてます。光に対してどのような方向に行動するかは生物によって様々です。最近話題のユーグレナ(ミドリムシ)は光に正の向き(つまり光の方向)に動き、上にも挙がっているミミズは光に負の向き(光と逆の方向)に動きます。そして、今回スポットを当てている虫(蛾やハエなど)は光に対してある一定の向きに動く性質を持っています。

ある一定の向きという記載をしていますが、直角よりもやや小さく、まっすぐの方向ではない中途半端な角度に走光性を持っている、のです。ここまでをイラストにまとめると、こんなかんじですね。

走光性の種類

なんのために走光性という性質があるのか、という話にはそこまで触れませんが、その生物が生きる為に必要な性質だと言われております。

念のための解説ですが、上の図のそれぞれの意味は下記の通りです。

解説図

 

■太陽の光と街灯の光の違い

さて、話を変えまして、今度は太陽の光と街灯の光の違いについて触れていきましょう。お互い、光である事には代わりありません。しかしながら、ある見方では異なるものとなります。

この章では百聞は一見にしかずという事で、はやめにイラストの登場です。

光の違い

左が太陽、右が街灯の光ですね。そう、陽と街灯の光の違いは、光の方向が一定なのか、放射状なのかという違いです。

この違いが、肝になってくるのです。さて、この章はこの辺りにしていよいよ本題へ。

 

■実際に虫が描く曲線は

さて、本題になります。

最初に触れた虫(蛾やハエ)の走光性と、一つ前の章の街灯の光の知識を掛け合わせてみましょう。
蛾やハエの性質は光に一定の角度で飛ぶという走光性を持ち、街灯の光は放射状に光が飛んでいるという事を組み合わせます。

ある瞬間の虫(説明しやすくために「虫」と表記します)と街灯の位置関係を下記のイラストにしましょう。

 

1コマ目

 

状況は分かりますでしょうか。街灯の周りを虫が飛んでいるという状況をイラストにしています。しかしここからこの立体的な図のまま説明してくと、僕のイラストスキルも皆様の想像の力も限界が来る可能性がありますので、もっと単純化したいと思います。

上の図の緑色の矢印の向きから見てみましょう。つまり、上から見下ろした図ですね。そうすると、

上から見た図

だいぶシンプルな図になりました。街灯がただの円になりましたね。見やすい。笑

さてさて、この虫は光に対して一定の角度で進む走光性を持っているため赤の矢印の方向に進みます。上の図からちょっと進んだあとの瞬間は下記の図のようになります。

2コマ目

さて、虫は図で言うちょうど下の部分まで移動しました。ではその移動した地点で、走光性を示す矢印を加えてみましょうか。すると、

3コマ目

はい、このようになりますね。次の瞬間は、水色の矢印の先端に虫がいることになります。さらに同じような事を繰り返していけば、虫の動きが分かりますね。では、ここからは説明を一気に飛ばしていきますよ。どんどん走光性の図を描いていくと、最後は下記のような図になります。

上から見た軌跡

おお、なんと虫が光に向かってぐるぐる回りながら進んでいく事が分かりました。

この図では描き切れてませんが、中心に近づく為にさらにぐるぐる回りながら近づいていきます。正確には様々な要因から(風や他の虫の存在など)このようなキレイな動きは出来ませんが、この「ぐるぐる」が「ふらふら」の正体だったのです!

 

■終わりに。この動きを関数で書くと?

さて、虫のふらふらの正体が分かりました!実に美しい動きをするのですね。

螺旋

この動きは「螺旋(らせん)」という曲線にかなり近い形になります。螺旋とは、下図のような曲線を指します(下図は回転の向きがこれまでの図とは逆になってます)

Logarithmic_spiral.svg

 

(出典:wikipediaより)

ちなみに式で書くとこんな式になります。

螺旋を表す式

対数螺旋

(出典:wikipediaより)

こちらについて詳しく知りたい人は、「対数螺線」で調べてみてください。数学Ⅲの範囲になります。

 

「なんで同じ曲線になるんだろう?」って疑問にだけこの場で回答しておくと、”この「対数螺線」も、原点に対して一定の角度を保ち回転させる事で書ける図だからです。虫の動きとまったく同じルールでこの曲線も描かれている”というワケです。

さて、この夏は虫への見方が少し変わったかもしれませんね。じっくり観察してもここまで綺麗な動きを見ることは難しいかもしれませんが、今度機会があれば観察してみてください。ぐるぐる回る様が見れるかもしれませんよ。

 

数学のお兄さん

世の中のあらゆる現象を数学的に解明しようと立ち上がった、謎の組織の発起人。

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