表示するだけじゃ勿体ない!タンパク質3Dモデルで遊んでみた。

2016-12-07

Keita Tanaka

こんにちは、Keitaです。


普段は組織工学(繊維材料)の研究をしていますが、2年前から「Science CG」なるものを
学び始めたことをキッカケに趣味で3DCG制作もしています。


普段はどんな場所で役に立っているか?といえば、
作ったCGを学会ポスター発表での説明資料に使ったり、という具合です。

研究における3DCG

フリーソフトだけで作れるのが学習初期の驚きでした。



さて、そんな趣味を持ち始めてから僕の頭にある疑問がありました。


「Protein Data Bankの3Dモデルって、もっと活用の余地あるんじゃないの??」




分子生物学や生物化学を専門されている方であれば、
一度はアクセス経験があるであろうProtein Data Bank(以下PDB http://www.rcsb.org/pdb/home/home.do)。


基本的にはタンパク質に関連する遺伝子情報やアミノ酸配列を見るために使うようですが、
無料ダウンロード可能のタンパク質3Dモデルデータも大量に揃っています。

生物学 PDB



そこで、発想を変えてみましょう。
3Dモデルがあるということは、言い換えればゲームや3Dアニメーションといった
様々なコンテンツが作れてしまう、ということを意味しています。
最近ではVRが流行っていますが、あれも3DCGが基盤です。


ヘッドマウントディスプレイ VR

PDBには上質なモデルが大量に、しかも無料で配布されています。
それなのに画面上でグリグリ動かして眺めるだけでは勿体ない。
というわけで・・・・・



PDBタンパク質モデルで映像制作に挑戦してみようと思います!!!



一見して無駄なことの様に思われるかもしれませんが、生産的なアイディアは無駄な事から生まれる。
ニコニコ技術部ユーザーの僕はそう信じています。


というわけで、実際に3Dタンパクモデルを2種類のコンテンツに落とし込んでみました。
学生である以上、お金を掛けたくなかったのでフリーソフトだけでやってみました。




① キネシンタンパクを歩かせてみた。 ~微小管タンパク~

キネシン(Kinesin)と言うタンパク質をご存知でしょうか?
細胞には微小管と言う骨格のような構造が存在し、輸送物の「運び屋」として活躍してくれます。
最近の研究では、細胞分裂や神経の働きに密接に関係していることが分かっています。
キネシンは「モータータンパク」とも呼ばれ、2つのモータードメインを交互に動かしながら
微小管の上を「歩く」ことが知られています。

キネシンタンパク

教科書的なイメージだと、だいたいこんな感じ


「歩く」という動作がある以上、(もう少し立体的に表現した方が面白いのでは?)と思い、
Kinesin (PDB ID: 3KIN)を使用して、アニメーションを作ってみました。
作り方の道筋を簡単に説明します。



制作時間は調べながら作業したのもあり、1時間程度でした。

初めからノウハウ持ってたら30分で出来た気がします。


なお、作った後にYoutubeで比べものにならないくらい高品質なCG動画(動画リンク)を発見しました。
数十万の費用を掛ければ作れますが、一般研究者が草の根でつくるには今回のレベルが
丁度良いかと。 目的は 「伝える」 ことで あり、「感動させる」は二の次です。


妬みではありませんよ・・・・。


② 心拍音と連動する血管断面のGIFアニメ

さて、少し応用的なコンテンツを作ってみました。
皆さんは、血液が様々な物質を溶かした液体であることはご存知かと思います。



実際、人間の体にはアルブミンというタンパク質成分が7~9%という濃度で溶けています。

「結構薄くない?」と思った方、いやいやこれが結構濃いんです。



バイオ実験で蛍光染色作業を普段からやってらっしゃる方には、何となくイメージが湧くでしょう。
実際の溶液がこちら5%溶液でも黄色く濁っています。


ウシのアルブミンの5%濃度溶液(不透明液)  


ウシのアルブミンの5%濃度溶液(不透明液)

他の成分として
・赤血球
・血小板
など複数種類の細胞も含まれています。


ということは、血管内部をミクロな視点で見た場合、たくさんの血中成分が
目の前に迫ってくるように見える筈・・・。
今回はそれを表現してみたいと思います。


そして、ただ流れるだけでは面白くないため、心拍音と連動してくれる映像を作ってみることにしました。
なので、コードを書いて・・・と言いたいところですが、「Cプログラミング入門」の単位を落とすほど
微塵たりとも出来ない僕なので、今回は同学の塙君に協力をお願いしました。




【塙 克樹】

早稲田大学院 表現工学科に所属 修士一年

専門:ヒューマンメディアテクノロジー 
同学科の橋田朋子研究室で、紙や素材の応用の研究をしている。研究や展示の関係でVRやIoT(デバイス関連)に興味がある。
Processingやopenframeworksでインタラクティブなコンテンツを作ることや、Arduinoでデバイスのプロトタイプを作ることが好き。ただ、それだと外部に発信できないため独学でwebアプリケーション制作を学習中。趣味はイラストとラーメン、プログラミング。特技はピカチ○ウを描くこと。

ブログ : http://hungrykirby.tumblr.com/ 本人は「自分の技術力は低い」と言うが、ハッカソン(プログラミングコンテスト)に出て賞を貰ったりしているのを見ると侮れない男。簡単なのに誰もやったことのない、いわゆる「コロンブスの卵」(アイディア勝負)を追い求めるのが好き、らしい。




今回は僕が作ったヒトアルブミンの立体構造やら血球細胞のモデルデータを
透過画像(背景が消えた画像)に変換し、彼にProcessingで心拍音に合わせて画面上に迫ってくる仕組みにしました。
詳細は記事最後!



「出来ました!」という連絡を受けて見てみるとビックリ!!
ちゃんと各モデルがランダムは位置で流れている。流石やね!
言わなくてもこっちの趣向を汲み取ってくれたんよ。
コンテンツ制作における連携プレイの重要性を改めて感じました。


如何でしたでしょうか?今回はタンパク質のものを使いましたが、
分子モデルやNASAが配布している人工衛星の3Dモデルも色々と活用できます。



特に動画は聴衆に対しストーリー(機構など)を効果的に伝える性質があります。
学会のポスター発表に、タブレットを持ち込んでいる人を見たことは無いですか?
あれは、動画を交えて説明した方が圧倒的に理解して貰い易いことを意味しているんですね。


色々書きましたが、これを読んでいる皆さんが3Dモデルの活用に少しでも興味を持ってくれたら幸いです。


※その他 参考になる3Dデータベース例 (無料で高品質のモデルを取れるサイトは結構多い)

https://nasa3d.arc.nasa.gov/models 
http://www.blendswap.com/ 
http://3dprint.nih.gov/discover





最後に・・・
この記事を読んで「こいつ瀬尾拡史さんに影響されてない??」と思う方がいるかもしれません。
その通りです。2000%影響されてます。


それではまた!!!





-------------塙君の一言メモ!------------------

ProcessingとはかつてはMITメディアラボで開発されたjavaベースのプログラミング言語。簡単に絵を描いたりアニメーションさせたりができる。私も田中君同様C言語で挫折し、二度とプログラミングをやらないつもりでしたが、Processingの便利さに感動し今もコードを書いています。
ちなみにコード全体はgitHubと呼ばれるところ(https://github.com/hungrykirby/kekkan)にあがっています(汚いのであまり見せられるものではない、本人談)
自由に使って下さい。

Keita Tanaka 早稲田大学大学院 先進理工学研究科/ Co-Lab / Shojinmeat Project / SCIGRA Twitter: @keitasciencecg

in vitro での骨格筋作製と3DCGが専門です。個人ブログ「Cプログラミンを落とした理系がScience CG制作してみた!」を運営したり、コミックマーケットで 評論本「人工培養肉作って食べてみた!」を頒布したりしてます。将来は科学技術を文化を交えながら世界に発信する仕事をしたい。

@keitasciencecg

http://sciencecg.seesaa.net

カテゴリ一覧

さらに読みたい記事

一覧へ

Follow us

理系+では、理系分野に興味がある人に向けて様々な情報を日々発信しています。

最新情報はSNSアカウント又はメルマガにて受け取ることが出来ます。