2017.02.06

科学の歴史のとらえ方

ばる

「パラダイム(paradigm)」ということばを聞いたことはあるでしょうか。

パラダイムはトマス・クーンという科学哲学家が提唱した、科学技術進歩の歴史のとらえ方です。

クーンという学者を知らない、初めて聞いたという方もいると思うので軽く紹介しておきましょう。
ちなみに高校倫理の教科書にも出てくる人物で、センター試験にも出題されたことがあります。


クーンはハーバード大学で物理学を学び、大学院では科学史・科学哲学を先行し、科学史・科学哲学 の博士号を取得しました。
その後は様々な大学で科学史の教鞭をとっていました。

パラダイムという概念は、1962年に発表した『科学革命の構造』で提唱しました。


パラダイムとは

さて、肝心のパラダイムの紹介に入りましょう。
パラダイムとは、「一定期間、科学上の問い方やと答え方の規範となるような、科学者に広く認められた科学的業績」です。
…多分、よくわかんないと思うので詳しく説明していきます。

ざっくり言っちゃうと、科学上の流行とかブームのようなものと思っていただければいいでしょうか。時代時代の基本となる考え方のことを「パラダイム」と呼びます。
そして、その基本となる考え方を基にして積み上げていった科学の業績を「通常科学」といいます。

具体例を出します。
おそらくもっともイメージしやすいのはニュートンの作ったパラダイムでしょう。
このパラダイムはニュートンの著作『プリンキピア』から始まり、これを基にして、ニュートン力学などの近代科学の多くが発展していきました。
ここではニュートン力学や近代科学が通常科学になります。

しかし、ときは下り、ニュートン力学で説明できないことがある、ということがわかってきました。
困った。今までのパラダイム(基本的な考え方)ではきつい!!どうする!?
と、なったところでアインシュタインの相対性理論や量子論が登場しました。

こんな感じで、今までのパラダイム(ニュートンのパラダイム)で限界を感じ、新しいパラダイム(アインシュタインや量子論のパラダイム)が必要になり、人々に受け入れられていくことを「パラダイム・シフト」といいます。


様々なパラダイム

古代以来、様々なパラダイムが生まれ、パラダイムシフトを起こしてきました。
幾つか紹介すると、

・天動説から地動説へ
・有機体論的考え方から機械論的考え方へ
・自然発生説から生命発生説へ

などがあります。

「有機体論的考え方から機械論的考え方へ」がわかりにくいかと思いますが、前回紹介したニュートンの起こしたパラダイムシフトです。ニュートン以前はモノ(風や火も)には意志があり、その意思が運動を決めていると考える有機体論が主流でした。
ニュートンは数学と物理法則で、運動を記述し、機械的に運動が決まると考え、次第にこの考え方が主流になってきます。



と、ここまでパラダイムという言葉は科学に適用してきましたが、パラダイムという言葉を科学以外の分野に適用する使い方もあります。
たとえば社会主義や資本主義のパラダイムなどですね。
ちなみにクーンは純粋科学以外にパラダイムという言葉を適用させることは認めていないので、クーン的には感じでしょうね。


ただ、パラダイムという枠組みで歴史を見たほうがすっきりとしてわかりやすくなるのでこのように拡大解釈された意味でもよく使われています。

何かの歴史を考えるときは、「この時代の基本的なパラダイム(基本的な考え方)は何だろう?」と考えることで理解が深まることがあるかもしれないので、皆さんもどうぞお試しください。


参考:中山茂『パラダイムでたどる科学の歴史』ペレ出版

ばる 明治大学理工学部物理学科3年

楽しければ何でもいいやって思ってる

@gear_179

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